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2024/10/07 08:32 |
安楽死 2

「んじゃ会議はじめっぞー」

 

昼休憩が終わり、終了のチャイムの代わりに部長の第一声が室内に響く。
パーティションの群れのあちこちから、それぞれ何かを小脇にかかえてのろのろと立ち上がるチーフたちの姿が見えた。
オレや啓次も進捗表を手に、のたのたと会議室に向かう。

 

会議室では、現在遅れ気味のプロジェクトについて部長がうんうんと唸るのをみんな黙って拝聴するのが恒例の行事となっている。
今日も部長は、オレが関わっているプロジェクトの遅れについてうんうん唸り始めた。
「高橋、システムの構築はいつくらいで終わる予定だ?」
高橋と呼ばれた啓次は、ボールペンを指の先でくるくると回しながら気楽そうに答える。
「そうっすね・・・正規のMAPデータさえもらえたら、それぶち込んですぐテストに入れるんすけど・・・」
両足をぴったりとつけ、背筋を伸ばして啓次の向かいに座っていた、オブジェクト配置担当の女が微かに眉を寄せる。丸顔でややぽっちゃり、ウルフヘアに黒ぶちの眼鏡をかけた彼女はこのところ、帰宅もせず狂ったようにMAP作成に取り組んでいるのをオレは知っている。目の下のクマが痛々しい。
「吉井。MAP完成まであとどのくらいだ?」
彼女の方に視線を飛ばし、容赦なく尋問を始める部長。吉井と呼ばれた彼女は、連日の徹夜でハイになっているのか、うわずった声で答える。
「あと2週間もあれば、全部完成します」
「そうか・・・マスターがあと2ヶ月だから、今のうちからテストに入らないとまずい。確実に1つずつつくり、できたものはすぐ高橋に回せ。できた部分からテストだ」
「はい」
「サウンドはまあまあか・・・2日遅れならまだ挽回できるな?グラフィックは・・・」
部長はそう言うと、卓上の全体スケジュール表に目を落として再びうんうん唸りはじめた。分かっている、一番問題の、パブイラストについて、だ。
顔を上げた部長は、
「・・・益田は今日もいないのか?」
と、会議室の全員の表情をなめ回すように見つつ言う。
益田は原画担当だ。売れ線の絵が描けるヤツで、ユーザーから相当の人気がある。本人自身はそれらを別段気にもかけないまじめな奴で、そこが好感を持てるのだが先日、めずらしくモデリング担当と言い争いをしてからというもの、連絡なしに会社を休むようになった。
ゲーム中でプレイヤーが実際に操作するキャラクターのモデリングデザインが益田の原画とかけ離れているのを彼が注意し、モデリング担当も彼の原画から立体を起こす難しさを説明したのだが「でも似てないと意味ないだろ」の益田の一言で担当が切れ、「ピカソみたいなパースの絵はポリゴンじゃ再現できねえから!」と怒鳴ってしまった。益田はまじめなだけにそれをまともに受け止めてしまい、以来よく会社を無断欠勤するようになってしまったのだ。
「今日も来てないですね」
モデリング担当の男がさらりと言いのける。
「ヴ~~~~~~~~~」
部長が喉から搾り出すような唸り声を上げる。

マスターから1ヵ月後にはプレスを終え、ゲームが店頭に並ぶ。ゲームのパッケージはともかく、その店頭に飾る宣伝用のポスターやパンフレットは、遅くとも発売1ヶ月前には印刷を終えて配布しないとならない。また雑誌での露出用イラストはそれよりももっと早く仕上げて出版社に送らないとならない。
つまり、雑誌用イラストの締め切りが5日後に迫っている状況なのだがイラストはまだ線1本たりとも描かれていなかった。
「今日で日本が終わるからもういいや、とか思ってたとか・・・」
啓次がなぐさめにすらならない冗談を言う。いや、あながち冗談でもない。実際それで発売が遅れたソフトメーカーもある。安楽死法案の功罪を語るなら、功よりも罪のほうが多いかもしれない。生活をする、という意味においては。
「長屋、お前益田の家を知ってるな?会議のあとでちょっと様子みてこい」
オレは部長に名を呼ばれ、はいと短く答えた。内心、本屋で本を漁りたかったのでちょうどいいとほくそ笑む。

 

それから30分ばかり部長の、経年により円熟味すら感じられる浪曲のような唸り声を拝聴した後、オレは社を後にして益田の家に向かった。先ほどの署名団体はすでにビルの前から姿を消していた。啓次が残念がることだろう。

益田の家はごみごみとした下町の裏道に面している。
乗用車がなんとかすれ違うことができる程度の細い街路の両脇には、古びた平屋や古びた店舗が立ち並ぶ。コンビニやビデオ屋などの現代文明の粋は2ブロック離れた表通りにあり、そこの喧騒はここまで届かない。この道沿いにあるこじゃれた美容院の、白壁の垢抜け具合だけが周囲のレトロな空気とかけ離れていて、ここを通るたびにいつ潰れるだろうかと他人事ながら気にかかるのだが、1年前の開店から今まで続いているのは意外と流行っているのだろうか。

なんだか懐かしい空気もある裏道をしばらく歩き、オレは2階建ての益田の自宅の前に立つ。
益田は実家に両親と共に住んでいる。「一人暮らしは金がかかるから」らしいが、趣味に金が使えなくなるからが直接の理由だろう。
オレが木製のドアの脇にある呼び鈴を押すと、屋内に軽い「ピポーン」という呼び出し音が響くのが聞こえた。そして益田の名を呼ぼうとして思いとどまる。小学生じゃあるまいし、声に出して「益田くーん」などと呼ぶまでもない。
そのまま数秒待つが、反応がない。もう一度、今度はゆっくりと呼び鈴を押し込み、離す。
ピン(早く)、ポーン(出ろよ)。
先ほどよりも意思を込められた呼び出し音が屋内に響くと、ほどなく奥からドスドスという足音が近づいてきてドアの手前で止まる。
「どなた?」
低く太い男の声。益田の声だ。が、違ってたらイヤなので丁寧な口調で喋る。
「すいません、長屋と申します」
カチンと錠の外れる音がして、ドアが細めに、すっと開いた。そこには、突然の来訪者を訝しむ目つきの益田が、黄色いパジャマ姿で立っていた。
「なんだよ・・・長屋、なんかあったのか?」
「部長に言われたんだよ。お前最近出てきてないから見て来いって」
「ああ・・・まあ、上がるか?」
ドアが大きく開かれ、オレは中へ招かれる。益田は頭をボリボリ掻きながら、オレにドアを閉めるのを任せて勝手に奥へ戻っていった。後ろ手でドアに錠をかけ、オレもその後に続く。

 

「なんかなあ・・・やる気出ないんだよな」
数分後、オレは2階の益田の自室にいて、折りたたみの椅子に腰掛けながら益田の話を聞いていた。
益田の部屋はさすがデザイナーというか、全ての壁面が本棚になっており、棚は本やら資料やら画材やらDVDやらで埋め尽くされている。本棚の城壁に囲まれた室内には、ベッドと大き目の机とトレース台とTVとちゃぶ台が詰め込まれている。
益田はかなり太めの男だ。2ちゃんでいうところの「ピザ」にあたる。短く刈り上げた頭髪に細いスクエアの眼鏡、大き目の唇、そして二重顎。タトゥに興味があり、会社でよくその手の雑誌を読んでいるが、全身にタトゥをすると両親が容赦しそうにないので今はへその下にワンポイントを入れることで我慢している。座ると腹部のぜい肉に隠れてしまうので見つかりにくいとか。
益田はその巨体を仰向けにベッドに転がし、ため息をついている。
「パブイラスト、締め切りが5日後なの覚えてるだろ?」
「しらねえ~~~~」
「知らんじゃないやろ。どうすんだよお前?」
「わかんねえ~~~~~」
ベッドの上を右に左にと転がる益田。水族館でトドのショーを見るような気持ちだ。ただこのトドはオレと少なからぬ利害関係にあるトドだが。調教師よろしくムチを鳴らしたいところだ。
調教師の殺気でも感じたのか、益田は転がりまわるのを止め、面倒そうに机の上を指差した。
「お?」
オレは身を乗り出し、机の上を覗き込む。そこには、大判の紙面いっぱいに、はちきれそうな笑顔をふりまく女の子の線画が置いてあった。背景のレイヤー分の線画も全て出来上がっていた。
オレは線画を汚さないため、手にはせず触らずにそのまま眺める。
「おおおおお?いいじゃんこれ?」
「ダメなんだよ~~~~~スカートのまくれ具合がノッてないんだよ~~~~~」
「いやいいって!チラッと見えてる感じがいいじゃん!」
「見えすぎだよ~~~~~萌えないんだよ~~~~~」
必死に、しかし半分本気で褒めるオレの言葉がくすぐったいのか、益田は再びベッド上をゴロゴロと転がり始める。あの言い合いの後、益田はふてくされながらも自分の仕事はきっちりと済ませようと、自宅で集中して描いたのだろう。以前みたイラストのラフ画よりも数段見栄えのする仕上がりだと思う。

「ここまで出来てんなら、〆には絶対間に合うな・・・
彩色には3日前には渡すんだぞ。部長にはそう言っとくぞ?」
オレは椅子から立ち上がり、ベッドの上のトドに言う。
「いや~~~~~これじゃあダメだろ~~~~~」
耳まで赤く染め、わき腹をぼりぼり掻きながらうつ伏せで唸るトド。仕事ができているのを確認した今は、この痴態すらかわいく見えてくるから不思議だ。

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2006/11/15 09:56 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択
安楽死 1

自国の核ミサイルが常に自分の頭上を狙っている状況を想像してみる。

 

例えば朝起きる。
オレは寝ぼけ眼をこすりながら食卓に座り、新聞を広げて目を通すと先日、半年ぶりに行われた国民安楽死投票の結果が載っている。
投票結果は「まだ滅びるほどではない」が60%でトップだ。「もう滅びるべき」は18%と、日本に絶望している層は1/5程度だとわかる。オレはとりあえずまだ生きていられることに安堵し、箸を味噌汁につける。
しかし、「わからない」が5%というのはどういうことか。自分の命運を決められない、誰か決めてくれということなのか。

新聞には、この結果を踏まえて政府が、最近上昇傾向にある失業対策の抜本的改正に乗り出す、とある。政策の失敗が即、国家の破滅に繋がるから政府も必死だ。
国会では野党が、ミサイル管理の改正を求めて吼えている。現在は投票システムがミサイル管制に直結しており、自滅の結果が出て24時間後にはミサイルの雨が日本全土に降り注ぐのだが「機械のトラブルで誤射する恐れを減らすため、猶予時間を48時間に伸ばすべき」だという。ならいっそ、1年後にしてはどうか。そしてまたグダグダになった世論に押されてシステムを解体するがいい。
そうなったら、本当に日本はおしまいだな。
オレは苦笑いをし、新聞をたたむ。

 

車に乗り、職場まで続く渋滞の列に我が身を押し込む。
道すがら車窓の向こうに立ち並ぶ看板は、国家安楽死法案が成立する前よりいっそう刹那であり、見るほどに気が滅入ってくる。
いわく、「知らない明日より確実な今日のため。 ●●キャッシング」やら、いわく「40歳までの割安保険!」やら「将来の給与を保証金に!年利50%のスーパー投資信託」とか。
訪れるか否か誰にも判らない未来を担保に、ギャンブルをしているようなものだ。
横に並ぶ車のドライバーが、それらの看板を無表情に眺めている。おそらく法案成立前も、そういう風に無表情のまま過ぎ行く看板を眺めていたのだろう。人は、本当に危機が目前にあると自覚できなければ変わりはしない。もし自滅が決定しても、ミサイルが視認できるほど目前に迫るまで彼はそのまま、無表情で街を眺めているのだろうか。

 

駐車場に車を止め、会社のテナントがあるビルの正面玄関に足を運ぶと、そこには何やらの署名活動を行っている団体がいた。高々と掲げた黄色い旗には「9条死守」「安楽死法案廃止」という文面がゴチックで力強く描かれている。
同じく黄色のウィンドブレイカーを羽織った小太りの中年女性が、拡声器を口にあてて「子供たちの明日を守る9条を堅持し、私たちみんなを殺す安楽死法案を廃案に持ち込みましょう!」と周囲に叫んでいる。
オレたちを殺すのは法案ではなく、生きる力を失ったオレたち自身であるわけだが。

背後から「署名をお願いしまーす」という間延びした若い女性の声がしたのでその方を向くと、髪をシャギーに、短くまとめた10代前後の面長の少女がオレに署名板を差し出して微笑みかけていた。頬のえくぼがかわいらしい。彼女も同じく、黄色のウィンドブレイカーを羽織っている。
「署名をお願いしまーす」
少女はもう一度、オレにそう言い手に持つ板をずいとオレに突き出す。
オレが会社へ出勤している以上、今日は休日ではないはずだ。この少女は今の時間、学校へ行っていないとならないはずだが、一体どうしてこんな場所で署名活動を行っているのか。そもそも、この署名活動の意味が本当にわかっているのか。こういう団体にこういうかわいい少女がいるのは妙に不釣合いだが、親がここにいるのか。一人なのか。何歳なのか。今日はのっぴきならない仕事があっただろうか。なければ少女とちょっと話を。
瞬時、そのように考えたオレだが、

「いや、間に合ってる」

わけのわからない返事を残し、オレはその場をついと離れてビルの中へと姿を消した。
少女は多分あとで「こういう妙な男がいた」と仲間内で笑うことだろう。クソったれ。

 

胸の高さほどのパーティションが整然と並ぶオフィスに足を踏み入れ、オレは自分の席を目指す。
壁にかかったホワイトボードには「マスターアップまで○○日!」という文面が大きく書かれ、その下には各パートの進捗状況と残務が簡潔に記されている。ボードの端には「無防備マン」という何かの漫画のキャラクターが赤い旗を振っているラクガキがある。
ここはとあるソフトハウスの開発室だ。各パーティションはそれぞれが、席の主の城である。どれ一つとして同じレイアウトのパーティションはない。ある場所はパソコンの周囲が書類とCDで埋め尽くされ、またある場所はそれがキャッチャーのぬいぐるみで埋め尽くされている。ヤマハの巨大なキーボードが無造作にパーティションの壁に立てかけられてたり、またあるいはコーヒーメーカーがデスクに鎮座している所もある。
オレの机も御多分に漏れず、ファイルの山とCDの山と音楽機材の山に囲まれた盆地にパソコンが配置された、雑然とした状況にある。かろうじて書類立てで書き物をする領域を確保しているのが、他のヤツと一線と画していると自負しているが誰も認めてくれない。

隣の席のヤツも出社したようだ。重いかばんを床に落としたような、どすんという音がした。オレはパーティションの壁から首だけ出し、挨拶をする。
「おはよう」
「おう、入り口にかわいいコがいたな?」
こちらを向いた長髪の男が、目を輝かせながらオレにそう言う。痩せぎすの体に黒のタンクトップと黒の皮パンをあつらえ、つやのある黒いストレートヘアを肩まで伸ばしたこの男は有能なプログラマで名は啓次、見た目はモテそうだが20代半ばだというのにロリコンで彼女いない歴20数年、パーティションの壁にはミニスカやら半裸やらあるいは全裸のアニメキャラの絵をこれでもかというくらいに貼り付けている。「主食は少女」と言って憚らないパブリックエネミー全開なヤツだが、幸いにしてまだ事件は起こしていない。あるいは世間に知られていないだけなのか。
「いたねえ。あれ、学校行かんでいいんかいな」
「休みとってんじゃないの?多分親もいっしょだろ、親が『親戚の不幸で』とか言ってさ」
「子供をダシに使う団体は、どうもうさんくせえんだよなあ」
「オレは嬉しいけどね。仕事終わるまでまだあそこにいないかな」
そう言って、啓次はフヒヒと笑う。とことん見た目と中身がかけ離れたヤツだ。

 

仕事の合間にオレは、2ちゃんねるを見に行く。
目的の板は「ニュー速+」、国内外のニュースについての議論が活発に行われている場所だ。
そこでは早速、今日のニュースである「国民安楽死投票の結果」について議論が行われていた。

 

 187 名前:名無しさん@十三周年 :2012/11/14(火) 10:19:51 ID:Od3d7lCBm
   昨日、もう人生オワタと思って有給使ってサラ金に100万借りてカジノいってきた。
   結局ミサイル飛ばなかったがオレだけ人生終了しました。かーちゃん今までありがとう。

 188 名前:名無しさん@十三周年 :2012/11/14(火) 10:22:52 ID:1VorPaWX0
   まだ生きていられるわけだから、がんばって金返せ、もしくは終了しとけ
   それより、5%の「わからない」って連中は一体なにwwwwwww
 189 名前:名無しさん@十三周年 :2012/11/14(火) 10:27:44 ID:pf7gn5urO
   >>188
   自分が生きてるのかどうかも判らない連中じゃね?

 190 名前:名無しさん@十三周年 :2012/11/14(火) 10:29:51 ID:Od3d7lCBm
   >>187
   IDがICBM

 

・・・まあ、誰もが思うだろうことを言っている。

安楽死投票はこれで3回目になるが、毎回結果の出る数日前あたりから、こういう自暴自棄な連中が出てくる。最初の投票結果が出る前日などは、旅客機の国際線はみな全て満席でいっそつり革をつけようかという所まで出る始末、銀行やサラ金は押し寄せた客にたまりかねて店を閉め、暴動を警戒して街には警察や自衛隊が立ち並んだのだがそれに火炎瓶を投げつけ射殺される奴やら全裸でファックしながら東京タワーから飛び降りたホモのカップル、満員の山手線をトレインジャックしようとして乗客に踏み殺される鉄道オタクや手当たり次第に獣姦するペットショップ店員、宝石店に武装主婦団が押し入ったりソープをやり逃げしようとして飛び出し呼び込みにボコボコにされる大学生、高速道路は200km/hオーバーの速度で暴走する車が行き交いのべつまくなし激しい衝突音が轟き、隣近所にしょうゆを借りに行って撃ち殺される中年やら幼稚園児の群れを通園バスで追い回す運転手やら、犬やら猫やら毛沢東やらともうそれは大騒動になった。

 

が、結果まだミサイルは発射されないことが判明すると、人々は途端にしおらしくなった。

 

戻ってきた国際線からは、神妙な、バツの悪そうな面持ちの乗客がぞろぞろと出てきて、銀行やサラ金は返金やら解約の客の群れにたまりかねてもう3日間店を閉め、あたるを幸い誰彼かまわず抱きしめておいおい泣く警官や、ホモカップルは大声で歌いながらホテルに入り、鉄道オタクはホームの端でおとなしく電車の写真を撮影し、ペットショップ店員はペットのトリミングに精を出し、宝石店には匿名の宅配便で宝石の入った袋が送られてきたが数えてみるといくつかなかったり、大学生がソープランドを訴えたり、高速道路はあっという間に通勤ラッシュで渋滞し、隣近所にしょうゆを借りに行って人妻に誘惑される中年やら幼稚園児たちを笑顔で出迎える通園バスの運転手やら、犬やら猫やら毛沢東やらといつもの生活が徐々に戻った。

 

2回目の投票の際も騒動が起きたが、初回のと比べればいくぶんにも抑制された状況で、むしろ人々はそういう、騒動を起こす連中をよそ目になるべくいつもと変わらない生活をしようと努力しているように見受けられた。
実際のところ、投票結果がどう出るかは誰にもわからない。また誰もが、まだみんな死にたいとは思っていないという初回の結果に、一種の連帯感のようなものを感じ始めているような感じもある。
誰にも言っていないがオレは初回から一貫して、「滅びるべき」に投票している。が、最近はそれが誤っているかもしれない、まだこの国は、やり直せるのかもしれないとも思い始めている。

 

オレはひとつため息をつき、ブラウザを閉じた。


2006/11/15 00:54 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択
オレ達は自らを殺す!

太平洋戦争は、いうなれば日本の自殺未遂であるともいえよう。

 

時の指導者たちが認識不足に陥り、あるいは八紘一宇という理想のもとに、またあるいは諸外国の包囲網による逼迫した状況がそうさせたとはいえ、明らかに勝ち目のなかったあの戦争は、一国家の壮大な自殺未遂劇であった。
オレ達は一度、自殺を図ったことがあるのである。自国民のみならず、あらゆる国家を巻き込んで。

 

なぜ核開発なのか、という理由はここにある。
単に自殺であるなら、今から中国やアメリカにケンカを売れば前回同様の結末を迎えられる。また、自衛隊を解体し日米安保を破棄すれば、いずれ20年後は名実ともに朝鮮や中国、アメリカなどの奴隷国家になる。
しかし、オレが語る自殺は、オレたちの尊厳を維持する最大限の抵抗を意味している。上記のような手法では目的を達せられない。

 

朝鮮や中国は「日本は100年後になっても我々に謝罪しなければならない」と言う。
事実、戦後60年以上を経てもこのような考えであるならば、それは本心なのだろう。
あえて言う。

オレ達には関係ねえんだよ。

数年前、朝鮮へ修学旅行に行った中学生たちが現地で土下座する姿を見て、怒り心頭に発したのはオレだけか。知らないから怒るのではない、知ってなおかつ、これほどの退廃的場面を見せられる悲しさにやりきれないのだ。

土下座は隷属を意味する。いかに取り繕おうとも、そこには健全な意味など微塵もない。
前向きな関係?当事者でない、ただ日本人の子孫であるというだけで中学生が集団で土下座をすることが前向きな関係を築くきっかけになると本気で考えているのか。

 

このように、オレは朝鮮や中国が嫌いだ。できれば根絶やしにしたい。
が、しかしこれらと戦争をしようとは思わない。勝つ負けるの問題ではなく、根絶やしにしないのなら戦う意味がないと思っているからだ。
日本が勝てば100年でも1万年でも恨み言を子々孫々伝えるだろうし、日本が万が一負ければ間違いなく、オレ達は家畜扱いとなる。どちらにせよ、下劣な民族とは関わるべきではない。

 

いいだろう。
オレ達が鬼畜日本兵の子孫であり未来永劫謝罪し続けなければいけない民族であるというならば。
しかしオレは絶対に受け入れない。土下座するくらいなら、死んだほうがマシだ。そしてどうせなら、お前ら下衆どもが絶対に真似のできない散り様を見せてやる。

 

だから、戦争ではなく自殺なのである。しかも、自国の核ミサイルで。
養豚場国家どもには絶対に真似のできない自殺だ。

 

同意しろ。
お前も、覚悟を決めろ。


2006/11/13 18:59 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択
生きている国へ。

自国製核ミサイルが、自分の脳天を狙っている。
いずれそれが炸裂し、人生が一瞬で終了するかもしれない。

 

常識を逸した状況だが、オレがこれを力説する根拠について言及しようか。

 

いつ何時、全てが核ミサイルで消えてしまうかもしれない。
しかも自分の国の核ミサイルで。
が、しかしいつ発射されるかというのは分からない(定期的に投票を行い、それで発射の判断をするのもいいだろう)。

こういう状況に陥った場合、人間性が露呈する。
あるものは一刻も早く日本から脱出しようとする。またあるものは、核ミサイルが発射されないよう手段を講じようとするだろう。そしてあるものは自暴自棄になり、犯罪を犯す。
が、大部分の人間は気づくはずだ、これは今までとそう変わらない、本当は今までも同然に、死がそこに存在していたのだと。

そしてそういう状況になった場合、賭けてもいい、人々の生活に張りができる。
人は死を意識した時に初めて、現在の生に充足できる。昨今の国防に関する興論も、北朝鮮の非道が明らかになり脅威であると感じられたからだ。
死に最も遠い状況では、人は死も同然の生き方をする、と考えられる。

 

いつまで生きられるかは、国民の総意で決まる。
他の誰でもない、我々が生きる意志を持つことでしか、生きることができない。

 

正直に言え、想像してわくわくしてこないか?
今までの灰色の世界が、にわかに色彩を帯びてきらめき始めただろう?

 

オレが謳う世界での日本が生きる意義は、領土的野心や国際的名声などでなく、まさにオレたちが生きたい、生の喝采をあげたいがためにのみ存在する。
他者の誰にも命運を任せない、オレたちが自ら意義を認めるからこそ、日本は存在する。

 

 

だから、核開発をして自殺しよう。
オレはお前らにそう訴え続けるのだ。


2006/11/13 14:01 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択
不正確な予測の意義。

堺を無防備地域に 条例制定へ署名活動
http://mytown.asahi.com/osaka/news.php?k_id=28000000611110001

 

この活動には、非常に重大で且つ活動者たちは署名する人々に説明すべき問題がある。
相手がジュネーブ条約を守らなかったらどうなるのか?

騒乱状況を想像しがたい平時に、騒乱時には無防備となる事を宣言しようという事だが、それよりも上記問題にすら思い当たらない、想像力の欠如した人間の署名が1万5千人分も集まるかどうかがきわめて興味深い。

 

左翼や右翼は理念のため、将来の理想社会のために人を殺す。しかしオレは、腐敗しきらない内に全てを終わらせよう、日本製の核ミサイルで全土を焼け爛れた土くれにしてしまおうと訴える。

日々を懸命に、つつましく暮らす人々が日本の大多数を占めていることは承知だ。
が、しかし問う、将来に展望をもって暮らしているのか。10年後、100年後の日本はどうあるべきか、そこで暮らす自分たちはどうあるべきかと考え暮らしているのか。関係ない、必要ないと思うのは、蝶のはばたきを無視して竜巻に首をひねるようなものだ。

ろくに調べもせず、そして10年先にそれがどういう影響を及ぼすかも考えもせず従軍慰安婦を認め謝罪した河野洋平の愚劣さはそのまま、彼を議員に選んだ我々の愚劣さである。
河野洋平はブタだ。しかしそれにも増して、我々が愚鈍なブタなのである。

 

幸いにして、人間の脳みそはファジィな情報の処理能力に優れている。1+1よりも、●+△の答えを考えるのに向いている。将来の世界を、日本を考えるだけでもいい。その中にいる自分を考えてみる。できるだけ正確に、でも100%正確な予測に拘る必要はない。
それこそが蝶のはばたきなのである。

 

我々はか弱い蝶だ。
しかし、蝶がはばたけば竜巻が起こりうるのだ。

核ミサイルで自殺する前に、できることはやっておこうではないか。


2006/11/13 13:25 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択

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